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特集【アートギャッベものがたり vol.4】織りに込めた幸せへの願い

第8回にわたりご紹介するアートギャッベの物語。
これを読めばアートギャッベの全てが分かるはずです。

第4回目は織りに込めた幸せへの願いについてご紹介します。

目次

  • アートギャッベの文様に込められた家族への愛情
  • 風景画から読み解く自然への祈り

 

アートギャッベの文様に込められた家族への愛情

多くのギャッベには、ギャッベならではのユニークで可愛らしい、様々な文様が描かれています。

実はその文様には、ギャッベを織る女性たちの、人生や家族に向けた願い、優しく深い愛情が込められています。
ギャッベを織るカシュガイ族の女性たちは、結婚をして嫁いでいく際に、自分で織り上げたギャッベを1枚と、お母さんからのはなむけとしてのギャッベを1枚、嫁入り道具として嫁ぎ先に持っていく伝統があります。これからの生活への希望、お母さんから娘への幸せになってもらいたいという願いを込めて織り上げていくようになりました。

また、イスラム教で偶像崇拝が禁止されていることもあり、イランでは絵画や彫刻が発展しにくい状況でした。
しかし、イラン南西部で遊牧生活を送るカシュガイ族は伝統的に、絨毯に素朴で抽象的な文様を用いて、家族への願いを込めて織るという伝統がありました。

今回は、カシュガイ族の女性たちが、どのような願いや愛情を込めてギャッベを織りこんできたのか、代表的な幾つかの文様の意味を通して、ご紹介いたします。

・四角の文様~幸せへの入口

四角の文様

 

窓の文様

ギャッベの特徴的なデザインとなっている、こちらの四角の文様は窓や井戸として描かれています。

窓のないテントで暮らすカシュガイの方々にとっては、窓は憧れであり、家の窓から風が舞い込み、悪いものを追い出すという意味が込められています。

そして、イランの乾いた大地での遊牧生活で最も大変なのは、水の確保です。その水を得られる井戸は、幸せや恵みの入口の象徴としての意味をもっています。

女性たちはこの窓や、井戸の文様を織り込みながら、家族の幸せを願っているのです。

・生命の樹~長寿、健康、成長への願い

生命の樹1

こちらの木の文様は『生命の樹』と呼ばれる、アートギャッベの中でも象徴的で、カシュガイの女性たちに愛されている文様です。

イランの山岳地帯の荒涼とした大地に生える大樹は、生命力の象徴です。家族の長寿や健康を祈り、また子供の成長を願いながら、女性たちはこの生命の樹を織り込んでいきます。

生命の樹2

 

生命の樹3

 

生命の樹4

生命の樹にも、荘厳な樹から愛らしい樹まで様々で、織りこむ女性のオリジナリティに溢れています。

・鹿の文様~家庭円満

鹿の文様1

 

鹿の文様2

こちらの愛くるしい、見ているだけでも優しい気持ちになってくる鹿の文様も、ギャッベの伝統的な文様です。

鹿は、子供を育てる際に、自らに寄り添わせて育てる習性があります。子供の鹿が、親鹿と寄り添って歩く光景はとても心温まるものなのですが、その習性を由来として、鹿の文様には家庭円満の願いを込めています。

・人の文様~子孫繁栄、豊穣への祈り

人の文様1

カシュガイ族にとって、家族がたくさんいることは財産であり、代々続く、みんなの願いでもあります。
そんな子孫繁栄、豊穣の祈りをこめて、人の文様は織られ、また、女性たちは日記を書くように、文様を織り込んだりもするので、自分の子供の数だけ織り込むこともあったり、人間に留まらず、家族同然の羊の出産もたくさんであってほしいとの願いも込められています。

人の文様2

このようなユニークでキュートな人の文様もあります。2人の女の子をもつ母が、子の成長を願って織られた1枚でしょうか。

女の子の間に描かれる生命の樹も、この2人がすくすく健康に育ってもらいたいという想いが込められている気がします。

・ライオンの文様~権威、力の象徴 

ライオンの文様1

こちらのライオンの文様は、権威・力の象徴として織り込まれています。ライオンはカシュガイの人々にとって、深い知恵と豊かな財力、そして強靭な肉体と大きな権力をもった存在です。
現在は山岳地帯で遊牧生活を営むカシュガイの人々の多くは実際にライオンを見ることもないのですが、強い憧れをもち、部族の長や、お父さんのために織られることが多いです。

ライオンの文様2

ライオンのデザインにも多様性が見られ、ライオンのイメージそのままに、力強く勇ましいライオンもあれば、一見ライオンなのか判別できないような、ユニークなライオンのデザインもあります。人の顔のように見えるライオンは、一家の主のお父さんの顔を織っているものもあります。


風景画から読み解く自然への祈り

カシュガイの女性たちが織るギャッベには、遊牧生活の中で目に映った、その雄大な自然の風景が描かれたものもあります。

風景ギャッベ1

こちらの1枚は、カシュガイ族が遊牧生活を送るザクロス山脈の峰々を描いたのでしょうか。峰々の向こうには朝日とも、夕日ともとれる太陽が微かに顔を見せています。太陽は再生や不死を意味していると言われています。

染めてない羊毛で織られた白やベージュ、ブラウンなどの繊細なグラデーションで表現された大地。優しくて、どこか懐かしい空の色が描かれた風景は人々がゆっくりと眠りから覚める朝なのでしょうか。それとも、1日を終え、静寂に包まれる夜を優しく連れてくる夕暮れなのでしょうか。この一枚を眺めているだけで、想像が溢れ出てきます。

こちらのギャッベの下の方にはテントが織られていますが、テントは家族を意味していると言われています。
1日を終え、夫や子供たちがテントに無事戻り、これから家族団欒の時を迎えようとする夕方、平穏で幸せに満ちたひと時が、この先も続きますようにと、母である女性は、この風景に託し、織ったのではないか・・・など、風景のギャッベに込められた想いに想像を馳せるのも楽しいものです。

風景ギャッベ2

こちらは先程の風景の描かれたギャッベと構図が似ていますが、黄色の美しいグラデーションの背景に、所々に、太陽の光で染まったような山のようなデザインが、色々なタッチで描かれています。

下の方には色とりどりな個性が溢れる鹿が何頭も描かれていて、いつまでも眺めていられそうです。

しかも、見る向きや、太陽の当たり方によっても色合いの見え方が変化する、草木染めで手間をかけて織られているアートギャッベは、長い間見てても飽きることがありません。まるで、親しい友のような、夫婦のような絨毯です。

ギャッベを見る際に、どのような文様が描かれているか、どんな願いが込められているのかを想像しながら見るのは、とても楽しいです。
カシュガイの女性が、目に映したであろう雄大な風景を見ながら、色合いやディテールに想像力を膨らませ、そこに描かれた文様の意味も含めて、どんな想いをもって織られたんだろうと思いを馳せるのも、とても素敵な時間だと思います。


まとめ

・カシュガイのギャッベを織る女性たちは、アートギャッベの上の文様や、風景に、願いや祈り、家族への深い愛情を込めている。

・文様の意味を考えながらアートギャッベを見ていくと、より一層見応えがある。

ギャッベを織る女性たち

違う国籍、違う民族であっても、人生に対する希望や、家族の幸せを願うことは、人間皆同じです。イランでも、日本であっても、それは変わりはありません。
ぜひ、自分の今の願いや希望と重ね合わせながら、カシュガイの女性たちが心を込めて織るアートギャッベをご覧いただきながら、素敵な時間をお過ごしいただければと思います。

特集【アートギャッベものがたり】

 

特集【アートギャッベものがたり vol.5】アートギャッベとギャッベって何が違うの?

第8回にわたりご紹介するアートギャッベの物語。
これを読めばアートギャッベの全てが分かるはずです。

第5回目は、アートギャッベの「こだわりの品質」についてご紹介致します。

目次

  • ① アートギャッベとギャッベの違い
  • ② 品質を高める5つのこだわり
  • ③ まとめ

アートギャッベとギャッベの違い

お客様からギャッベってたくさんあるけど何が違うの?という質問をよくいただきます。
ギャッベは、織りの細かさやその品質によって値段が変わってきますが、
一言にギャッベと言っても、化学染料を使い染色されたものや、機械で作られたものなど、低コストで生産された安価なものから、手仕事で手間暇かけて作られるものまで様々です。

もともとは、イランの遊牧民の生活道具から始まっていますが、現在ではその人気から商業的にイラン以外の国でもギャッベに似たものが作られるようになってきました。

私たちがご紹介しているアートギャッベは、人の手仕事で織られているものです。
なので、1つ1つ毛の質感も長さも違い、それぞれに個性があるのです。

私達がイランで買付を初めて18年、その経験と知識を活かし、実際に触ってモノを見て厳選しています。ただ柄が素敵だからというので選ぶのではなく、1つ1つ触って毛の質感や肌触りを確かめ、その上で日本の住まいに合い、永く楽しんで使っていただけるものご紹介しています。

ギャッベの選定風景

アートギャッベとは
「永く使える確かな品質」と「日本の住まいに合い、日本人の心に響くアート性を合わせ持つ」ものなのです。

品質にこだわるために、徹底した天然染料などの品質管理、人体に有害な物質などが含まれていないことを証明するエコテックスを業界で唯一取得しているなど、ギャッベの中でも圧倒的な品質の高さで世界最高品質と謳われるゾランヴァリ社から買い付けをしています。

ZOLLANVARIロゴマークエコテックス証明写真


品質を高める5つのこだわり

①裏面をバーナーで焼く~結び目を固く~

織りあがったギャッベの裏面は、余分な毛が出てしまっているため、裏面をバーナーで焼きます。

余分な毛を焼くと同時に
・裏面を綺麗に
・結び目は固く
・ほつれにくく
しています。

アートギャッベの裏面をバーナーで焼くところで

燃えないのか心配ですよね。安心して下さい。
上質な羊毛には、難燃性という特徴があるので、燃え広がらず火がついても自然と消えます。

 

②手仕事による染色~自然な風合いを感じられる草木染~

アートギャッベは、全て人の手仕事による草木染めです。
心地よい肌触りを表現するために、羊毛が含んだ脂分を適度に残したまま染色するので、
1日~2日ほど時間がかかってしまいます。

羊毛を窯で煮込んでいるところ

時間をかけて芯まで染色することによって、色褪せない自然な風合いに仕上げているのです。

化学染料のように脂分を抜けば、染色しやすくも出来るのですが、それでは肌触りもパサパサになり、糸自体も傷んでしまい切れやすくなってしまいます。

アートギャッベは、自然素材の草木で染めるので、お子さんがいる家庭でも安心・安全に、自然豊かな色の風合いをお楽しみ下さい。

 

③経糸を丸め込む~より頑丈にするために~

アートギャッベの上下には、縦糸(フリンジ部分)と呼ばれる白い糸を丸め込んで織られている部分があります。
これは、丸め込む事によってより丈夫に傷みにくくするためです。

アートギャッベのフリンジ部分

織りあがったギャッベは、房を残したままなのですが、そのままだと掃除する際に、掃除機で吸い込んでしまったり、引っかかってしまったりとギャッベを傷める原因になってしまいます。

職人さんがフリンジ部を織っているところ

実際、この織り方は技術も高く、手間がかかりますが、より頑丈に使いやすくするために丸く織り込んでいるのです。

 

④ギャッベを綺麗にする~遊び毛を押し出す~

絨毯だから、優しく洗浄するもだと思いきや、
アートギャッベギャッベは、畑を耕す鍬のような道具で力強く洗浄します。

アートギャッベを洗浄しているところ
洗浄と同時に遊び毛(余分な毛)をなるべく押し出す大切な工程なので、力強く洗浄していますが、頑丈に織り込まれているため、ゴシゴシ洗浄しても傷みません。

アートギャッベを洗浄しているところ
さらに、洗浄と同時に丁寧にトリートメントをすることで、柔らかく優しい肌触りと美しい艶を生み、上質な羊毛をより引き立たせてます。

 

 

⑤毛足を刈り込む~文様を美しく魅せる~

アートギャッベでは、緻密なデザインをより美しく魅せるために短く刈り込んでいますが、織りが密なため、クッション性を損なわずに弾力を保つことが可能です。

毛足を刈り込んでいるところ職人の手で、そのギャッベに合った毛足の長さを見極め、丁寧に刈り込むため、毛足の長さも一枚一枚違います。

毛足の長さを揃えているところ
綺麗に刈り揃える事で、なめらかな肌触とフカフカとした踏み心地を楽しめますが、均等に刈り揃えるのとても難しく、正に職人技です。

 

playlist_add_check まとめ

 アートギャッベとは

・「永く使える確かな品質」と「日本の住まいに合い、日本人の心に響くアート性を合わせ持つ」

・現地で妥協せず、一枚一枚モノを見て触って厳選されたものである。

・人の手仕事により、品質を高めるために手間暇がかかっている。

・赤ちゃんも使える安全な自然素材のものである。

特集【アートギャッベものがたり】

 

リビングテーブルをお届けしました。

こんばんは。道路の雪も除雪を頑張って下さる方々のおかげで少なくなってきて、トラックでのお届けの際もだいぶ行いやすくなってきました。
除雪隊の皆様、本当にご苦労様です。

本日は、まだまだ雪の多かった先週にお届けしてきたリビングテーブルをご紹介いたします。

無垢材 テーブル リビング 座卓 新潟

ブラックチェリー、無垢材のリビングテーブルです。
デザインはとてもシンプルな作りで、スッキリと洗練された印象です。

今回お選びいただいたテーブル。
同じデザインのダイニングテーブルは、多くの方からお使い頂いているボー・デコールでも人気のテーブルですが、リビングテーブルではまだまだご紹介不足で、私たちにも珍しく新鮮でした。
スタッフの中では、スッキリとした中にも、柔らかく、可愛らしい印象もあり好評でした。

リビングテーブル 天然木 新潟 家具

全体的にナチュラルでモダンな印象のN様のリビングにとても馴染んでいます。
実はN様のお宅には、ボー・デコールでお選びいただいたインテリアが幾つかあります。

チェスト ビンテージ ラグ チェリー 新潟

テレビボード 観葉植物 ラグ ビンテージ絨毯

一人掛け 椅子 チェア ウォールナット

少しずつ、お気に入りのインテリアを揃えて行かれたN様。
今回のリビングテーブルで一先ずは揃ったかな~と仰っていましたが、インテリアを見るのも好きなので、ボー・デコールにもまた遊びに行きますねと言って下さいました。

N様のお宅にお伺いすると、インテリアとしての家具やラグと共に植物の使い方も素敵で
私たちも新しい発見もあり参考にもなります。

担当したスタッフにも、本当にお世話になってありがとうございますと
嬉しい言葉も最後にいただきました。

N様、今回も素敵なお部屋にボー・デコールの家具をお選びいただき有難うございます。
雪が解けたら、是非お店に遊びにいらしてくださいませ。

 

お客様の声

アートギャッベギャラリー