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特集【アートギャッベものがたり vol.3】ボー・デコールスタッフが見たイラン旅行記

第8回にわたりご紹介するアートギャッベの物語。
これを読めばアートギャッベの全てが分かるはずです。

第3回目は、イランへの道のりと、町での暮らしと遊牧民の生活についてご紹介致します。

目次

  • イランへの道のり
  • 町に暮らす人々の生活
  • 遊牧民族カシュガイの暮らし
  • まとめ

イランへの道のり

私たちボー・デコールのスタッフでもあるアートギャッベ選定人は、年に3、4度現地イランのゾランヴァリ工房へ赴き、全国でご紹介しているギャッベを1枚1枚プロの視点から選定しています。

日本から約7,500kmも離れたイランに行くには直行便がない為、主にドーハやドバイを経由して行くことになり、経由地まで約12~3時間ほど、そこから首都テヘランまで約2時間。着くまでにも一苦労です。


空港の様子

選定人は現地で丸2日間アートギャッベを選んできますが、時差の関係もあり一度選定に行くと2泊4日の旅になるくらい遠い国。

また選定以外にも、これまで弊社スタッフや提携ショップのスタッフさま合わせて30人ほど、計60回以上も現地の文化や空気、作り手の思いを実際に肌で感じるためにイランへ研修に行っています。

研修では、現地イランに1週間ほど滞在をして、首都テヘランや織子さんたちが暮らすシーラーズなどを訪問するのです。


選定の様子

 

 


織り子さんとの交流


イランの正式名称は「イラン・イスラム共和国」と言いイスラム圏の国ですが、皆さんによく質問される治安が悪そう、怖い国というイメージと、実際に見てきた日常は全く異なるものでした。

私たちが現地で見てきたイランの日常。あまり知られていないその暮らしぶりをご紹介いたします。


街に暮らす人々の生活

先ずは女性の衣装ですが、全身黒ずくめで髪をスカーフで覆った姿を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか?イスラム教の女性は宗教上の理由で、髪の毛や肌を見せることが出来ません。私たち日本人がイランに行く際もスカーフを頭に巻き、真夏でも長袖長ズボンでなければ入国できません。

イラン旅行記
ボー・デコールスタッフのイランでの服装

 

しかし、実際に訪れてみると黒い衣装の女性は少数で、皆さんとってもオシャレ。そしてお人形のような美人が多くて驚きました。街では若い女性は日本の若者と同じようにお洒落をし、スカーフも素敵な柄で個性を出しておりました。

 


首都テヘランで出逢った素敵な女性

 

また、街中のレストランなどで食事をする時、禁酒国のイランでは
皆さんにもお馴染みの飲み物をよく見かけます。

 


イランのコーラ

 

そうです!コーラ!!!

そして、見つけましたmade in JAPAN

なんと「午後の紅茶」
これには私たちもビックリ。

食事もお米やフルーツをレストランなどでも良く目にすることが出来ます。

首都テヘランなどの町並みは、高層ビルや商業施設ももちろんありますが、一番驚いたのが車やバイクの交通量です。

 

 

とくに交差点はよく事故が起こらないなあと思うくらいに車とバイクが入り混じっています。

私たちの暮らしとあまり変わらない印象です。

 


カシュガイの暮らし

 

町中から、織子さんたちが暮らすシーラーズへ向かうと徐々に景色は変わっていきます。

ほとんどの地域が大陸性気候のため、乾燥した大地が広がっています。

 

乾燥し標高が高く、寒暖差もある厳しい自然環境で快適に暮らすためにギャッベが生まれたのも
現地に行くことで改めて実感することが出来ます。

 

 

ギャッベを織るカシュガイ族、一言でカシュガイ族と言ってもいくつかの民族の総称で、ルーツはトルコ系の移民の方々です。

 

カシュガイの地を訪れてまず目を引くのは、男性は私たちと同じようなラフな普段着スタイルですが、女性はお祝いや客人が来る際には一番色鮮やかな衣装を纏いお出迎えしてくれます。

カシュガイの女性は、いつも綺麗でいなさいという伝統文化もあるそうです。

食事は、主に豆を煮こんだものや小麦を練って焼いたナンが主食です。

ひつじ(ラム)を普段から頂くことは無く、お祝いや遠方からの客人が来た時に
家族である羊を振舞うことが最大のおもてなしと言われています。

遊牧民の暮らしでは、元々は共に暮らす羊やヤギの牧草を求め移動してきましたが
今でも夏の宿営地と冬の宿営地を行き来しています。

数十年前までは一年を通してテントで暮らしていましたが、現在では定住している人や冬は定住、夏は標高の高い場所へテントを張って暮らす半定住の人々も多くなってきているそうです。

 

また、定住生活をすることで暮らしも豊かになり、子供たちや女性も学ぶ機会も多くなり
街に出て就職する女性も多くなってきている為、年々ギャッベを織る女性も少なくなってきているそう。

前回もご紹介したようにユネスコで世界文化遺産登録されているカシュガイ族のギャッベを織る技術や文化、素敵なギャッベを少しでも多くの人に知って頂ければと思います。

 

 

 

・まとめ

私たちがご紹介しているアートギャッベを通して、遠く離れたイランの歴史や文化、カシュガイの織子さんなど、作り手の想いも実際に現地に行ったスタッフがご紹介しています。

ギャッベだけではなく家具も含め、作り手の方々の想いや背景を知る私たちだからこそ
長く快適に使えるインテリアの良さ皆様に感じて頂きながら大切に使って頂けたらと思います。

 

次回は、織りに込められている文様についてご紹介します。

特集【アートギャッベものがたり】

 

ダイニングセットをお届けしてきました。

こんばんは。先週の寒波がひと段落し、本日は太陽の光が温かく感じられる1日でした。ですが朝や夜はまだまだ冷え込みますので、皆さまも寒暖差による体調の変化に十分注意しお過ごしいただければと思います。

先日お届けさせていただきました商品をご紹介いたします。

新潟 家具 ダイニング テーブル

シンプルで長方形のフォルムが特徴的な、その名もMMテーブル。それぞれ異なる特徴をもつ4種類のダイニングチェアです。

MMテーブルは無垢材(天然の木)を使用しており、無駄のないスッキリとしたデザインです。また角に丸みをもたせているので、小さなお子様がいらっしゃるご家庭でも安心してお使いいただけます。職人の細かな技術やこだわりが沢山詰まったこちらのテーブル。ぜひ木目の美しさや天然木の温かみを感じていただけると嬉しいです。新潟 家具 ダイニング 椅子

こちらの2脚をご覧ください。全体のシルエット、そして背もたれの形や肘置きの有無など、デザインが全く異なるのがお分かりいただけるかと思います。

奥の椅子はデンマークのデザイナーさんがデザインした椅子。ハーフアームがそなわりゆったりとした座り心地を感じていただけます。手前の椅子は『KAKI no ISU』。とてもユニークな名前ですよね。背中のフレームが大きく湾曲しているのが特徴です。サイズもコンパクトですのでPC作業やお子様のチェアとしてもオススメです。

新潟 ダイニング 家具 家具施工例 テーブル 椅子

S様、この度はボーデコールの家具をお選びいただきまして誠にありがとうございました。ご自宅の雰囲気がより素敵な空間に変身しましたね。今後とも、ご家族の皆様が集う温かい場所になっていかれることを心より楽しみにしております。

 

お客様の声

アートギャッベギャラリー

特集【アートギャッベものがたり vol.4】織りに込めた幸せへの願い

第8回にわたりご紹介するアートギャッベの物語。
これを読めばアートギャッベの全てが分かるはずです。

第4回目は織りに込めた幸せへの願いについてご紹介します。

目次

  • アートギャッベの文様に込められた家族への愛情
  • 風景画から読み解く自然への祈り

 

アートギャッベの文様に込められた家族への愛情

多くのギャッベには、ギャッベならではのユニークで可愛らしい、様々な文様が描かれています。

実はその文様には、ギャッベを織る女性たちの、人生や家族に向けた願い、優しく深い愛情が込められています。
ギャッベを織るカシュガイ族の女性たちは、結婚をして嫁いでいく際に、自分で織り上げたギャッベを1枚と、お母さんからのはなむけとしてのギャッベを1枚、嫁入り道具として嫁ぎ先に持っていく伝統があります。これからの生活への希望、お母さんから娘への幸せになってもらいたいという願いを込めて織り上げていくようになりました。

また、イスラム教で偶像崇拝が禁止されていることもあり、イランでは絵画や彫刻が発展しにくい状況でした。
しかし、イラン南西部で遊牧生活を送るカシュガイ族は伝統的に、絨毯に素朴で抽象的な文様を用いて、家族への願いを込めて織るという伝統がありました。

今回は、カシュガイ族の女性たちが、どのような願いや愛情を込めてギャッベを織りこんできたのか、代表的な幾つかの文様の意味を通して、ご紹介いたします。

・四角の文様~幸せへの入口

四角の文様

 

窓の文様

ギャッベの特徴的なデザインとなっている、こちらの四角の文様は窓や井戸として描かれています。

窓のないテントで暮らすカシュガイの方々にとっては、窓は憧れであり、家の窓から風が舞い込み、悪いものを追い出すという意味が込められています。

そして、イランの乾いた大地での遊牧生活で最も大変なのは、水の確保です。その水を得られる井戸は、幸せや恵みの入口の象徴としての意味をもっています。

女性たちはこの窓や、井戸の文様を織り込みながら、家族の幸せを願っているのです。

・生命の樹~長寿、健康、成長への願い

生命の樹1

こちらの木の文様は『生命の樹』と呼ばれる、アートギャッベの中でも象徴的で、カシュガイの女性たちに愛されている文様です。

イランの山岳地帯の荒涼とした大地に生える大樹は、生命力の象徴です。家族の長寿や健康を祈り、また子供の成長を願いながら、女性たちはこの生命の樹を織り込んでいきます。

生命の樹2

 

生命の樹3

 

生命の樹4

生命の樹にも、荘厳な樹から愛らしい樹まで様々で、織りこむ女性のオリジナリティに溢れています。

・鹿の文様~家庭円満

鹿の文様1

 

鹿の文様2

こちらの愛くるしい、見ているだけでも優しい気持ちになってくる鹿の文様も、ギャッベの伝統的な文様です。

鹿は、子供を育てる際に、自らに寄り添わせて育てる習性があります。子供の鹿が、親鹿と寄り添って歩く光景はとても心温まるものなのですが、その習性を由来として、鹿の文様には家庭円満の願いを込めています。

・人の文様~子孫繁栄、豊穣への祈り

人の文様1

カシュガイ族にとって、家族がたくさんいることは財産であり、代々続く、みんなの願いでもあります。
そんな子孫繁栄、豊穣の祈りをこめて、人の文様は織られ、また、女性たちは日記を書くように、文様を織り込んだりもするので、自分の子供の数だけ織り込むこともあったり、人間に留まらず、家族同然の羊の出産もたくさんであってほしいとの願いも込められています。

人の文様2

このようなユニークでキュートな人の文様もあります。2人の女の子をもつ母が、子の成長を願って織られた1枚でしょうか。

女の子の間に描かれる生命の樹も、この2人がすくすく健康に育ってもらいたいという想いが込められている気がします。

・ライオンの文様~権威、力の象徴 

ライオンの文様1

こちらのライオンの文様は、権威・力の象徴として織り込まれています。ライオンはカシュガイの人々にとって、深い知恵と豊かな財力、そして強靭な肉体と大きな権力をもった存在です。
現在は山岳地帯で遊牧生活を営むカシュガイの人々の多くは実際にライオンを見ることもないのですが、強い憧れをもち、部族の長や、お父さんのために織られることが多いです。

ライオンの文様2

ライオンのデザインにも多様性が見られ、ライオンのイメージそのままに、力強く勇ましいライオンもあれば、一見ライオンなのか判別できないような、ユニークなライオンのデザインもあります。人の顔のように見えるライオンは、一家の主のお父さんの顔を織っているものもあります。


風景画から読み解く自然への祈り

カシュガイの女性たちが織るギャッベには、遊牧生活の中で目に映った、その雄大な自然の風景が描かれたものもあります。

風景ギャッベ1

こちらの1枚は、カシュガイ族が遊牧生活を送るザクロス山脈の峰々を描いたのでしょうか。峰々の向こうには朝日とも、夕日ともとれる太陽が微かに顔を見せています。太陽は再生や不死を意味していると言われています。

染めてない羊毛で織られた白やベージュ、ブラウンなどの繊細なグラデーションで表現された大地。優しくて、どこか懐かしい空の色が描かれた風景は人々がゆっくりと眠りから覚める朝なのでしょうか。それとも、1日を終え、静寂に包まれる夜を優しく連れてくる夕暮れなのでしょうか。この一枚を眺めているだけで、想像が溢れ出てきます。

こちらのギャッベの下の方にはテントが織られていますが、テントは家族を意味していると言われています。
1日を終え、夫や子供たちがテントに無事戻り、これから家族団欒の時を迎えようとする夕方、平穏で幸せに満ちたひと時が、この先も続きますようにと、母である女性は、この風景に託し、織ったのではないか・・・など、風景のギャッベに込められた想いに想像を馳せるのも楽しいものです。

風景ギャッベ2

こちらは先程の風景の描かれたギャッベと構図が似ていますが、黄色の美しいグラデーションの背景に、所々に、太陽の光で染まったような山のようなデザインが、色々なタッチで描かれています。

下の方には色とりどりな個性が溢れる鹿が何頭も描かれていて、いつまでも眺めていられそうです。

しかも、見る向きや、太陽の当たり方によっても色合いの見え方が変化する、草木染めで手間をかけて織られているアートギャッベは、長い間見てても飽きることがありません。まるで、親しい友のような、夫婦のような絨毯です。

ギャッベを見る際に、どのような文様が描かれているか、どんな願いが込められているのかを想像しながら見るのは、とても楽しいです。
カシュガイの女性が、目に映したであろう雄大な風景を見ながら、色合いやディテールに想像力を膨らませ、そこに描かれた文様の意味も含めて、どんな想いをもって織られたんだろうと思いを馳せるのも、とても素敵な時間だと思います。


まとめ

・カシュガイのギャッベを織る女性たちは、アートギャッベの上の文様や、風景に、願いや祈り、家族への深い愛情を込めている。

・文様の意味を考えながらアートギャッベを見ていくと、より一層見応えがある。

ギャッベを織る女性たち

違う国籍、違う民族であっても、人生に対する希望や、家族の幸せを願うことは、人間皆同じです。イランでも、日本であっても、それは変わりはありません。
ぜひ、自分の今の願いや希望と重ね合わせながら、カシュガイの女性たちが心を込めて織るアートギャッベをご覧いただきながら、素敵な時間をお過ごしいただければと思います。

特集【アートギャッベものがたり】