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【夏こそウールの手織りじゅうたんvol.6】じゅうたんの色選び

全7回に分けてご紹介する【夏こそウールの手織りじゅうたん】第6回目です。
これまでの記事では、ウールじゅうたんが一年中気持ちよく使えることをお伝えしてきました。

そうなると一枚を選ぶときに気になるのは「どんな色を選べばいいか」ですよね。
実際に「夏に赤は暑苦しい?」「冬に青は寒々しい?」と聞かれることも多いです。
「年中使うことを考えたら、無難なグレーやベージュが良い?」という声もよく聞きます。

確かに、一般的な機械織りや化学染料のラグでは「夏は寒色や明るい色・冬は暖色や深みのある色」をお勧めされます。
ですが、アートギャッベ・ハグみじゅうたんは違います。
今回はその理由と、じゅうたんの色の選び方についてお伝えいたします。

目次

  • アートギャッベ・ハグみじゅうたんの色は、何が違う?
  • アートギャッベと夕日の共通点
  • 結局どんな色を選べば良いの?
  • まとめ

アートギャッベ・ハグみじゅうたんの色は、何が違う?

インテリアに限らず、視覚から少しでも涼しさを感じられるように、夏場はさわやかな色のものが多く出回ります。
ラグは、お部屋の中でカーテンの次に大きなインテリア。夏のお部屋を快適にするべく、ラグを変えて模様替えをされるという方も多いです。

それに対して、アートギャッベ・ハグみじゅうたんのユーザー様は「1年中敷きっぱなし」という方がほとんどです。
普通のラグと何が違うのでしょうか?

アートギャッベ 赤 新潟

そのヒントは「色のゆらぎ」にあります。
こちらの赤いギャッベは、ひとことで「赤」といっても、紫がかった色からサーモンピンクに近い色まで、たくさんの赤が使われています。

アートギャッベ 糸

アートギャッベの色は、木の根っこや実などを使う「草木染め」で染められます。
時間や温度・湿度といった周りの環境によって、染め上がりの色が変わります。
その繊細さは「草木染めでは全く同じ色には二度と染められない」といわれるほど。

羊

さらに、イランの羊は真っ白の毛だけではありません。
茶色やグレーの羊毛を使ったり、他の染料を混ぜて染めたりすることで、様々な色に染め分けるのです。

織子さん

最後に、何色にも染め分けられた色糸を織り込んでじゅうたんに仕上げます。
色糸を1本取って、たて糸に結び付けて切って、別の色糸を取って、結び付けて切って…という気の遠くなるような作業です。
この時の色の混ぜ具合によって、アートギャッベ独特の繊細な色の揺らぎやグラデーションが生まれるのです。

機械織りや化学染料ではなかなかこの微妙な色の違いを再現できず、ぺたっと塗りつぶしたような色になります。
そんな赤は、夏に暑苦しく感じてしまうことが多いのです。

では、ハグみじゅうたんはどうでしょうか。
実はハグみじゅうたんは、草木染めではなく化学染料で染められた糸が使われています。
ですが、手紡ぎの糸になりますので細かったり太かったりすることで、アートギャッベのような「色のゆらぎ」がうまれるのです。

 

アートギャッベと夕日の共通点

先ほど、アートギャッベの色にはゆらぎがあり、そのおかげで暑苦しく感じにくいとお伝えしました。
ではなぜ「色のゆらぎ=暑苦しく感じにくい」のでしょうか?

その答えは、私たちが普段目にしている自然界の色にあります。

例えば、景色を真っ赤に染める夕日。深い赤から黄色みがかった明るい赤まで、数えきれないほどの色の集まりです。

先ほどお伝えしたアートギャッベの色のゆらぎは、この自然界の色と同じです。
つまり、夕日を見て暑いと思わないように、自然を連想させるアートギャッベは夏でも暑苦しく感じにくいのです。

同じように青いギャッベが冬に寒いかというと、ゆらぎによりやわらかいやさしい色に見えるため寒くは感じません。
一般的なラグの「夏は寒色・冬は暖色が良さそう…」といった考え方は忘れてしまって大丈夫です。

 

結局どんな色を選べば良いの?

結論からお伝えすると、「好きな色を選ぶこと」です。

「1年中使える色」の他にも、「飽きのこない色」「他の家具と喧嘩しない色」…と、色を選ぶときに気になることはたくさんあると思います。

ですが、アートギャッベ・ハグみじゅうたんはきっと他の家具よりも長くお付き合いただくことになるもの。
まずは合う・合わないではなく、まっさらな気持ちで本当に気に入るものを探してみてほしいと思います。

とはいえ迷ってしまう方も多いと思いますので、作りたいお部屋の雰囲気などがあればぜひご相談ください。
実際に敷いた施工例もご覧いただきながら、ぴったりの1枚を見つけるお手伝いをさせていただきます。

 

まとめ

playlist_add_check じゅうたんの色選び まとめ

まとめチェックアイコンアートギャッベ・ハグみじゅうたんと他のラグの違いは「色のゆらぎ」
まとめチェックアイコン自然を連想させるアートギャッベ・ハグみじゅうたんは、どんな色でも1年中使えます
まとめチェックアイコン合う・合わないではなく、好きなものを探してみましょう

 

次回は、特集【夏こそウールの手織りじゅうたん vol.7】アートギャッベとの過ごし方 ご使用いただいているお客様の声です。お楽しみに!

 

特集【夏こそウールの手織りじゅうたんvol.5】お手入れ簡単なウールじゅうたん

全7回に分けてご紹介する【夏こそウールの手織りじゅうたん】の5回目です。
今回は、ウールじゅうたんは「なぜお手入れが楽なのか?」についてです。

じゅうたんは人が集まる場所に敷くことが多いので、汚れが目につく場所でもあります。
そこで、本日は「お手入れが楽な理由」と「お手入れの仕方」についてご紹介致します。

青空の下干しているアートギャッベの様子

目次

  • お手入れが楽な理由
    • ウールは汚れがつきづらい素材
    • 天然素材のウールは静電気が起きづらく、掃除機掛けが楽
    • じゅうたんの目が詰まっているため、中までゴミが入りづらい
  • 普段のお手入れの仕方
  • 夏や梅雨に気になる湿気の対処法
    • 小さいサイズは日陰干しもおすすめ
    • 半分ずつめくって裏面にも風を通す
    • 表面を拭く
  • まとめ

お手入れが楽な理由

◆ウールは汚れがつきづらい素材

ウールの断面図

ウールの構造は、人間の髪の毛の表面とよく似ています。
このキューティクルのようなうろこ状の表面がコーティングの働きをしてくれるため、汚れも染み込みにくく、落としやすい素材なのです。

さらに、アートギャッベで使用している羊毛は「ラノリン」という脂分が多く含まれていることも理由の一つです。
なぜなら1日の寒暖差が30℃にもなる高地で放牧されている羊だからこそ、過酷な環境から身を守るために脂分が多いのです。

脂分が豊富だからこそ、アートギャッベは汚れが染みにくくなります。

◆天然素材のウールは静電気が起きづらく、掃除機掛けが楽

化学繊維は掃除機掛けでも静電気が起きることがあります。
静電気が起きやすいと、絨毯の上にのった埃をキャッチしたまま離しにくくになります。
掃除機掛けをしても、埃が取りづらい状態になるなんて、せっかくお手入れをしているのに悲しいですよね。

天然素材のウールは、化学繊維に比べると静電気が起きにくい素材です。
そのため、掃除機掛けでも埃が取りやすく、お手入れが楽になるのです。

◆じゅうたんの目が詰まっているので、中までゴミが入りづらい

毛足があるじゅうたんはふかふかで気持ちが良いのですが、ゴミが中まで入り込んでしまうところも困りごとの一つ。
しかし、アートギャッベは織りの密度が高く、目が詰まっているため毛足の奥までゴミが入りにくいのです。

こちらの写真をご覧ください。

目が詰まっている絨毯の様子

織り機で絨毯を織っているところを横から撮影しています。
経糸に羊毛を結んで切る…を繰り返しながら織り上げますが、目が詰まっているのがよく分かりますよね。
そのため、埃や髪の毛は絨毯の上に乗り、表面でキャッチしてくれるので掃除機掛けで吸い取りやすくなります。

また、目が詰まっていると、絨毯をダニや虫が発生しにくい環境にしてくれます。

ダニや虫が好む餌は皮脂や古くなった角質などの有機物です。
これは生活していく中で、落とさないようにするのは難しいですよね。
絨毯の中に餌が入り込みやすいと、掃除機掛けでは取りにくくなりますので、毛足の中までゴミが入り込みにくい、目が詰まった絨毯をお選びいただくことがおすすめです。

 

普段のお手入れの仕方

次は普段のお手入れの仕方についてご紹介致します。

絨毯の表面がゴミをキャッチしてくれている様子

普段のお手入れは簡単で、日常の掃除機掛けで大丈夫。なぜなら、「お手入れが楽な理由」でもお伝えした、絨毯の目が詰まっているためゴミが表面で留まっているからです。

ポイントとしては、毛の流れに沿って掃除機を掛けていただくことです。
手織り絨毯なので毛の向きがあります。
流れに逆らってゴシゴシ掃除機を掛けると、毯の繊維を痛めることもあるのでおすすめはしません。逆らった場合は、毛の流れを戻してあげてください。

※掃除機の種類について
強力なパワーの掃除機や回転ブラシは、絨毯の毛を痛める恐れがあります。
回転機能を止めて掃除機掛けをしてください。もし機能を止められない場合は、ヘッドをお布団用のタイプにしていただくか、パワーを「弱」など弱くして押し付けずに軽く掃除機掛けをしましょう。

ロボット掃除機の場合は、微細なホコリを感知するセンサーに絨毯の毛が反応し、上をグルグル回ったままになることがあるようです。
そのような時は、タイマー設定をしておくか、絨毯を半分めくった状態にしてロボット掃除機が乗り上げないようにするといいですね。

◆飲み物をこぼした場合

「あ!こぼしちゃった!」と慌てると思いますが、ご安心ください。脂分が豊富なウールだからこそ、汚れは染み込みにくいです。

①こぼしたところをティッシュや乾いた布で水分を拭き取る。
②タオルで水拭きをする。
③乾いたタオルで乾拭きをする。(ここで水分が残らないように吹いてください)
④自然乾燥させる。

以上です。こちらの動画は実際にコーヒーをこぼしたところをお手入れしているので、ぜひご覧ください!

※匂いや色が残りやすいものをこぼしてしまった場合
衣類のウール用洗剤や、おしゃれ着洗いの洗剤などを水で薄めたもので水拭きをしてください。
(食器用洗剤は必要以上に毛の脂分をとってしまう恐れがあるので、ご使用はお控えください)

ウール用洗剤で拭いた後は、洗剤が絨毯に残らないように水拭きと乾拭きをしてくださいね。

 

夏や梅雨に気になる湿気の対処法

梅雨による湿気や、日差しが強く暑い日が多くなってきましら、じゅうたんもさっぱりさせたいですよね。
おすすめの対処法をご紹介致します。

◆小さいサイズは日陰干しで湿気を逃がす

小さいサイズであれば、絨毯の裏面を表にして日陰干しがおすすめです。
裏面から湿気が逃げてくれます。日光にあてるのも短時間であれば大丈夫です。

◆半分ずつめくって裏面にも風を通す

絨毯を敷いたまま半分めくっている様子

大きいラグサイズは干すのは難しいので、敷いたままで半分めくって湿気を逃がしましょう。
次の日はもう半分をめくってあげてください。

めくったついでにじゅうたんの裏面や、床も掃除機掛けをするとより良いです。
裏地がないじゅうたんなので、目に見えない細かなハウスダストを毛足を通して絨毯の裏面に押さえつけてくれています。

◆表面を水拭きしてさっぱりさせる

汚れが染み込みにくいウールですが、汗ばむ季節などは気分的にもさっぱりさせたい方も多いと思います。
そんな時は、硬く絞ったタオルで、毛の流れに沿って水拭きをしていただくと、より一層心地よくお使いいただけます。

回数も半年に1回や季節ごと3~4か月に1回程度される方が多いようです。

まとめ

playlist_add_check お手入れ簡単なウールじゅうたんのまとめ

まとめチェックアイコン汚れがつきづらく、静電気が起きにくいウールはお手入れが楽
まとめチェックアイコンアートギャッベの普段のお手入れは、掃除機掛けで大丈夫
まとめチェックアイコン梅雨の時期などは、換気やじゅうたんをめくって湿気を逃がしましょう

 

次回は特集【夏こそウールの手織りじゅうたん vol.6】ウールじゅうたんの色選び、についてお伝えさせていただきます。
お楽しみに!

 

特集【夏こそウールの手織りじゅうたん vol.4】なぜ夏にウールがいいの?②触り心地の秘密

【夏こそウールの手織りじゅうたん】4回目になります。
今回ご紹介するのは、ウールじゅうたんが夏でも心地よい肌触りの理由についてご紹介させていただきます。

目次

    •  どんな「羊毛」を使っている?
    •  心地よさの秘密は丁寧な作業
    • まとめ

どんな「羊毛」を使っている?

アートギャッベに使われているのは羊の毛です。
これは「羊毛」(ようもう)と言われています。
羊毛の中でも「厳選された上質な羊毛」を使用しております。

高地の羊

羊は、年に2回毛を刈り取ります。
春に刈るのが「冬毛」。秋に刈るのが「夏毛」になります。
アートギャッベでは春に刈り取った毛=「冬毛」を使用しています。

「冬毛」は、0℃以下の厳しい冬を乗り越えるために保温性が高く、キメが細かく滑らかな肌触りをしているのが特徴で、「夏毛」に比べて匂いも少ないのです。
「夏毛」は、夏の強い日射しでダメージを受け毛質もゴワッとしており、40℃以上の気温で汗をかき臭いも染みつき、特有の獣臭もします。

さらに羊の品種も上質さに関係してきます。
高地に育つ羊は、平地に育つ羊よりも毛質が直毛でコシがあるため、踏むと弾力があり足触りもいいのです。

「羊毛」と一言で言うと大きな違いは無さそうに感じますが、いつ刈り取った毛なのか、どんな羊の毛を使用するのかでも大きな違いが出てくるのです。
アートギャッベには、高地で育った羊の「冬毛」から更に厳選されたものが使われているのです。

 

心地よさの秘密は丁寧な手作業

厳選された上質な羊毛を、次は、人の手で丁寧に長い時間をかけてアートギャッベに織り上げられます。

数多くの工程を経てじゅうたんは出来上がりますが、どれも人の手で行われます。
糸を紡ぐのも機械ではありません。たっぷりと脂分のある糸は手作業でないと紡ぐことができません。
機械ではすぐに絡まってしまうからです。

次は「染色」(羊毛に色を入れていく工程)です。

伝統的な草木染め

アートギャッベに使われるのは草木染の羊毛です。
染色は写真のような大きな釜でグツグツと何時間も煮込んで、色を入れて行くというとても大変な工程です。
分量として1kgの羊毛を染めるのに対して、1kgの染料が必要となります。
それ以上の比率の染料を使っても1度では深い色には染まりません。

深い色を染め上げて行くのには、染めては乾燥させ、また染めて、何十時間と掛かるのです。

一般的に羊毛を染色する際は、油分を落としてから色を入れていきます。
なぜなら脂分があると染まりにくいからです。
アートギャッベでは保湿成分でもある「ラノリン」という脂分はそのまま残して染めていきます。

脂分を抜いてしまうと、染色しやすくなり工程としては短時間で簡単になりますが、じゅうたんが出来上がった際の肌触りは、キューティクルが無く痛みもあり良いとは言えません。
大事なラノリンがしっかりと残っている事で、アートギャッベはしっとりとして夏場でもサラッとした肌触りになるのです。

こうして出来上がった糸を使って「織り上げて」いきます。

アートギャッベ 織り子さんが追っている様子

女性の方がひと結び、ひと結びと丁寧に、力強く織り上げていきます。
写真のようなじゅうたんの大きなサイズであれば3人掛かりで織って行くのですが、それでも1枚を織り上げるのには半年以上の時間が掛かります。

一列結ぶと横糸で締め、また結ぶ。
この作業を密に詰め隙間なく繰り返し行います。
そうして織り上がったじゅうたんは、足で踏んだ時、座った時に底つき感を感じないので気持ち良くお使いいただく事が出来ます。
心地よさの秘密は人の手による丁寧な作業にあるのです。

いかがでしたでしょうか?

私たちもご案内の際には「1年中気持ち良くお使いいただけます」「特に夏はサラッと気持ちいいです」とお伝えさせていただいておりますが、百聞は一見に如かず。
是非お店で体感・実感して頂きたいですね。

 

まとめ

playlist_add_check 夏こそウールじゅうたんの理由

まとめチェックアイコン厳選された上質な羊毛だけを使っている
まとめチェックアイコン丁寧な手作業だからこそ、素材を生かした素晴らしい仕上がりになる

次回は、特集【夏こそウールの手織りじゅうたん vol.5】お手入れ簡単なウールじゅうたん、についてお伝えさせていただきます。

是非チェックしてみてください♪